アップルケアは入るべきか、期待値で判断する

普段生活しているとなんらかの選択を強いられる場面がよくあります。宝くじを買うべきか否か、雨が降りそうだけど傘を持って行くべきか否か、新型コロナウイルスのワクチンを打つべきか否か・・・例を挙げるとキリがありませんが、みんなそれぞれの判断基準によってなんらかの選択をするはずです。僕はそんな時、よく期待値を使います。

期待値とは、なんらかの試行を行うとその結果が確率によっていくつかの数値が得られる場合、1回の試行で平均してどれくらいの数値が得られるかを表したものです。

一例を挙げてみます。僕はポケモンGOをやっています。ポケモンを捕まえる時に狙うべきサークルが表示されます。サークルは常時動いていて縮んだり広がったりします。広がった時に当てればNiceやGreatと言った評価となり、狭い時に上手く当てることができればExcellentとなります。当然Excellentの方が難しく失敗し易いですが、経験値は多く手に入ります。さて、ポケモンを捕まえて効率よく経験値を得たい時、堅実にGreatを投げるべきでしょうか、それともExcellentを果敢に狙って行くべきでしょうか。

Greatが成功した場合、100の経験値が得られます。一方Excellentが成功した場合1000の経験値が得られます。僕の技術ではGreatは3球中2球は当てる事ができます。Excellentは5球に1球程度です。さてどっちがいいのか期待値を計算してみましょう。

期待値を出すために、経験値に確率を掛けていきます。
Greatを狙った場合、成功する場合は100 x 2/3 = 66、失敗する場合は0 x 1/3 = 0です。
よって期待値は66+0=66となります。

一方Excellentを狙った場合は、1000x1/5=200、失敗する場合は0x4/5=0です。期待値は200+0=200です。

1回あたりに期待できる経験値の平均値はGreat狙いだと66、Excellent狙いだと200であることを表しています。Excellentを狙った方が効率的です。

実際の確率はもっと複雑ですし、得られる経験値も例えば1球で仕留めたらボーナスがあったりとかするので、正確な期待値を出そうとすると非常に煩雑になるのですが、こういうのは迷った時に頭の中で瞬時に計算して判断材料とすることが求められるため、できるだけ簡潔化するというのがポイントだと思います。

このように、期待値という概念は物事を判断する上で非常に便利なのです。

さて、ここでいよいよタイトルにもあるiPadの話題に移ります。

先日職場でiPadを買おうという話になりました。本体代は70,000円です。問題はAppleCareをつけるかどうかです。元々本体を買ったら1年間は保証が付いているのですが、AppleCareを付けるとそれが2年に伸びます。しかし9240円と高額ですし、修理するにしても4,400円かかります。これは悩む。ここで期待値の登場です。

付けた場合と付けない場合、それぞれ2年後にいくらお金がかかるのか期待値を計算してみます。

まずAppleCareをつけた場合です。これは2年目に壊れるかどうかによって分かれます。
2年目に壊れる場合は、修理費用を含めて70,000 + 9,240 + 4,400 = 83,640円です。確率は分からないのでとりあえず p としておきましょう。
2年目に壊れない場合は、70,000 + 9,240 = 79,240円となり、確率は (1-p) となります。

よって期待値は83,640 x p + 79,240 x (1-p)となります。・・・・・・・式①とします。

次にAppleCareをつけない場合です。1年目は本体保証が付いているので、これも2年目に壊れるかどうかによって分かれます。修理費用はいくらかかるか分からないので、本体を買い換えるということで計算します。
2年目に壊れる場合は、買い換えるので、70,000 + 70,000 = 140,000円かかることになります。
一方2年目に壊れない場合は、本体代のみで70,000円です。

よって期待値は、140,000 x p + 70,000 x (1-p)となります。・・・・・・式②とします。

確率が分からないので、期待値が数字で分かりません。適当に確率を設定してもいいのですが、ここはAppleCareを付ける場合と付けない場合で期待値が同じになる確率を求めてみます。

つまり、① = ② として p を計算すればいいです。

83,640 x p + 79,240 x (1-p) = 140,000 x p + 70,000 x (1-p)

これを計算すると、p = 0.14と出ました。つまり、2年目に14%の確率で壊れれば、付けても付けなくてもトントン、もし2年目に14%以上の確率で壊れるのであれば付けた方がいいし、2年目に14%も壊れないと思えば付けない方がいいでしょう。一つ解釈に注意が必要なのは、3年目以降に壊れるのであればこの計算は合わなくなることです。この場合、AppleCareをつけた方が損になる方向に動きます。僕は初期不良だったら壊れるのは1年目だろうし、2年目は14%も壊れないだろう、1年目を乗り越えられたら壊れるとしても4、5年以上使ってからだろうと予測をつけ、結局AppleCareは付けませんでした。

以上のように、僕は何か選択を迫られた時は期待値を使って選択肢を考えることが多いです。ただし、あくまでも確率論ですので、選択肢を失敗することも当然あります。しかし少なくともあまりにも不利な博打にはひっからなくなると言ったメリットはあると思います。あまり期待値を意識したことがなかったという方は、試しに使ってみてはいかがでしょうか。

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