先週くらいからSNSを中心にバズっている問題作「連ちゃんパパ」。遅ればせながら全巻読んでみましたので、感想を書きたいと思います。明確なネタバレはしないよう配慮していますが、概要は述べますので、少しでもネタバレNGって方はお控えください。
Contents
連ちゃんパパとは
1990年代にパチンコの雑誌で連載されていたありま猛による漫画。全部で43話。現在「マンガ図書館Z」というサイトで全巻無料で読めます。
主人公の高校教師が妻のパチンコ狂いを発端に、地獄のスパイラルに陥っていくと言う物語。物語の進行上切っても切れない重要キャラである強面の借金取りなど周囲の人を巻き込みながら物語は進んでいきます。一応最後はうまく話がまとまって終わりますが、物語が閉じた後もそうは問屋が卸さないんじゃないかという余韻を残しながら終わるのも、この作品の凄いところです。
感想
パチンコは恐ろしい
パチンコを軸に主人公の中の悪が開眼して、深い深い闇に陥っていくのが物語の核となっています。作者はどんだけパチンコが憎いんだよってくらいパチンコの負の面を惜しげも無く晒しています。これがパチンコ雑誌に載っていたってある意味凄い。タバコのパッケージに肺癌の写真を載せるような感じでしょうか。フィクションとは言え、本当にパチンコ依存症が恐ろしく描かれています。話ズレますが、賭博であるパチンコを無理やり合法化している警察庁の偉い人に読んでもらいたい。
性悪説
主人公は身から出た錆とはいえ、息つく暇がない程繰り返し悲劇を味わいます。いや、でも主人公はそれだけのことをしています。見た目は善良そうな人ですが、その腹の中には純度100%の邪悪が蠢いています。そして主人公ほどではないですが、登場人物も9割方悪い人。本当この漫画読んだら、性善説を説いた孟子も「前言撤回、やっぱ性悪説だわ」とか言い出しかねないくらいの勢いで、性根が腐っている人だらけです。
全巻通して読みましたが、救われないってのが第一印象ですね。
癒し要素!?
癒しと言えるか分かりませんが、この物語で唯一の良心はヤクザのような強面の借金取りです。見た目はいかにも堅気でない風貌で、借金を取り立てる為に、恐喝、暴力は当たり前。もちろん前科持ち。ところが、悪いものは悪いと分別はついている悪人のため、主人公に比べると全然大した事ないです(主人公は悪いとも思わずに非道な事をするので)。そして、この借金取り、情に厚く、主人公の息子と過去の自分を重ね合わせて、世話を焼いたりする一面もあります。もうほぼ奸譎な要素しかない世界観の中で、癒し枠確定。
最後に
読めば読むほど気が滅入る漫画でしたが、近年こんなに激しく印象に残った漫画も中々なかったです。話題になるだけのパワーがあります。むしろよくここまで日の目を見ずに水面下に納まっていました。一読の価値はあると思います。
無料公開している漫画図書館Zですが、5/16現在サーバーに負荷がかかり、アクセスし辛い状況でした。ご覧になられる方は時間帯を選んだ方がいいかもしれません。
コメント